うつくしい人生
現在の学校教育は、いろいろな知識を与えることばかり行われていますが、本来教育とは、立派な人間を育てることが目標です。様々な知識を学ぶのも、それによって教養を身に付け、立派な人間になるためです。私の子供の頃は、学校で道徳教育の時間がありました。学校で道徳を学び、教養を身につけて、立派な人間を作る教育でした。それが戦後は、これまでしてきたことはすべて悪いのだということになって、はるか昔から行ってきた良いことも、すべて捨ててしまいました。
日本は、もとが理屈で成り立っている国とは違います。外国でうまくいっているからといって、外国のような理屈を唱え、利益を追求するばかりの教育を持ってきてもそれだけでは上手くいかないのです。
日本人は、神様やご先祖様、周囲の幸せのために努力して生きてきた民族ですから、そういう生き方が、日本人の命を伝えることだと思っています。約束を破るとか、人を傷つける、あるいは神に背くというようなことが、人間として恐ろしい、恥ずかしい、申し訳ない、と感じるような、恥を知ることを子供達に伝えなくてはならないと思います。
平成15年発行 春日大社
葉室 頼昭宮司「にほんよいくに」より
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